Account Engagement(旧Pardot)とは?リード育成から商談化までを支えるMAツールを解説

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Account Engagement(旧Pardot)は、Salesforce社が提供するBtoB特化型のマーケティングオートメーションツールです。旧Pardotの後継ブランドとして2022年に名称変更され、Salesforceとのシームレスな連携により、マーケティングと営業活動を一体化した顧客育成が実現できます。

本記事では、Account Engagement(旧Pardot)の基本概念から主要機能・導入メリット・活用シーンまでわかりやすく解説します。

Account Engagement(旧Pardot)の概要と基本を押さえる

Account Engagement(旧Pardot)は、BtoBマーケティングに特化した機能を持つSalesforceの主要プロダクトのひとつです。まずは基本的な定義とSalesforce製品群における位置づけを理解しておきましょう。

Account Engagement(旧Pardot)の定義と目的

Account Engagement(旧Pardot)は、見込み顧客の獲得から育成・商談化までを自動化・効率化するマーケティングツールです。BtoBビジネスにおける顧客の購買プロセスは、BtoCと比べて検討期間が長く、複数の意思決定者が関与することが多い傾向にあります。そのため、見込み顧客との関係を長期にわたって丁寧に育てる「リードナーチャリング」が欠かせません。Account Engagement(旧Pardot)はこのナーチャリングを中心的な目的として設計されたツールです。

メール配信・フォーム・ランディングページ・スコアリングなど、BtoBマーケティングに必要な機能を一元管理できる点が大きな特徴です。複数のツールを使い分ける手間をなくし、マーケティング活動全体をひとつのプラットフォームで完結できることが、導入企業から支持される理由のひとつになっています。

SalesforceにおけるAccount Engagement(旧Pardot)の位置づけ

Account Engagement(旧Pardot)はSalesforceのMarketing Cloud製品群に属しており、CRMと直接連携できる点が大きな強みです。Salesforceのエコシステムの中で動作するため、営業が日常的に使うSales Cloudとスムーズに連携できます。マーケティング部門が管理する見込み顧客の情報と、営業部門が管理する商談・取引先データを同一プラットフォーム上で一元化できることは、部門間の情報断絶を解消するうえで非常に大きなメリットです。

見込み顧客がどのページを閲覧したか、どのメールを開封したか、どのフォームを送信したかといった行動データを、SalesforceのリードデータやCRM情報と紐づけて活用できます。マーケティングの活動データが営業の商談アプローチに直結する仕組みを構築できるのが、Account Engagement(旧Pardot)ならではの強みといえます。

旧PardotからAccount Engagementへの名称変更の背景

Pardotはもともと2007年に設立されたマーケティングオートメーション企業のプロダクトで、2012年にSalesforceが買収しました。買収後もしばらくは「Pardot」というブランド名で提供されていましたが、2022年にSalesforceのブランド統合方針のもと「Account Engagement」へと名称が変更されました。

この名称変更は単なるリブランディングにとどまらず、Salesforceの他製品との連携強化やブランドとしての一貫性をより明確にする意図が込められています。現在も「Pardot」という名称で認識している方は多いため、本記事では「Account Engagement(旧Pardot)」と併記して解説しています。

Account Engagement(旧Pardot)でできること

Account Engagement(旧Pardot)には、BtoBマーケティングに必要な機能が豊富に揃っています。主要な機能を把握することで、自社の課題解決にどう活かせるかをイメージしやすくなります。

リード管理とスコアリングによる優先顧客の特定

Account Engagementの中核的な機能のひとつが、見込み顧客のトラッキングとスコアリングです。見込み顧客がメールを開封した、特定のページを閲覧した、資料請求フォームを送信したといった行動を自動的に記録し、その行動履歴をもとに購買意欲の高さを数値化します。この数値をスコアと呼び、スコアが高いリードほど営業がアプローチすべき優先度の高い見込み顧客として可視化されます。

さらに、グレーディング機能を使うと、スコアだけでなく自社のターゲット像(業種・規模・役職など)との適合度を「A+」から「F」のアルファベットで評価することができます。例えば、「役員・部長クラスで、かつ自社のターゲット業種・規模に合致している」という像に近いほどグレードが上がる仕組みになっています。

スコアリングが「この人はどれだけ興味を持っているか」という温度感の指標であるのに対し、グレーディングは「この人はそもそも自社のターゲット顧客像に合っているか」という質の指標です。

スコアが高くても決裁権のない担当者レベルであればグレードは低く、逆にグレードが高い決裁者でもまだ興味が薄ければスコアは低い、という形で両軸の評価が可能です。これにより、「今すぐ営業が動くべきホットリード」を精度高く絞り込むことができます。営業担当者が限られた時間の中で最も成果につながるリードに集中できる環境を整えることができるでしょう。

メールマーケティングとオートメーションの活用

Account Engagementには、見込み顧客の行動に応じて自動的にメールを送り分ける「Engagement Studio」※1という機能があります。条件分岐を使ったシナリオをビジュアルで設計できるため、「資料をダウンロードしたが3日間反応がなければフォローメールを送る」「セミナーに参加したらお礼メールと次回イベントの案内を自動送信する」といった細かい自動化が実現できます。

メール配信にはA/Bテスト機能も備わっており、件名や本文の内容を複数パターン用意して開封率・クリック率を比較検証することが可能です。勘や経験に頼らずデータをもとにメールの内容を改善していけるため、マーケティング施策の精度を継続的に高めることができます。

フォームやランディングページもツール内で作成・管理できるため、リードの獲得から育成まで一貫してAccount Engagement上で完結させることができます。外部ツールとのデータ連携に手間をかけることなく、マーケティング活動全体をひとつの流れとして管理できる点は大きな運用上のメリットです。

※1 Account Engagementには、見込み顧客の行動に応じて自動的にメールを送り分ける「Engagement Studio」という機能があります。「Engagement Studio」は、マーケティングシナリオをビジュアルで設計・自動化できるツールで、条件分岐を使って複雑なナーチャリングの流れをノーコードで構築できます。

営業とマーケティングの連携強化

Account Engagement(旧Pardot)の重要な役割のひとつが、マーケティング部門と営業部門の情報連携を強化することです。スコアが一定の閾値を超えたリードは自動的にSales Cloudへ連携され、担当営業者への通知や割り当てが行われます。「マーケティング部門が育てたリードを、適切なタイミングで営業に渡す」という流れを自動化できるため、ホットなリードを見逃すリスクを大幅に減らすことができます。

営業担当者はSalesforce上で、リードがこれまでどのようなマーケティングコンテンツに接触してきたかの行動履歴を確認できます。「このリードは先週の価格ページを3回閲覧している」「ホワイトペーパーを2本ダウンロードしている」といった情報をもとにアプローチを組み立てることで、見込み顧客の関心や検討段階に合った的確な営業活動が実現します。

マーケティング部門と営業が同じデータを参照し、優先顧客の認識を共有することで、組織全体として一貫した顧客体験を提供することができます。

Account Engagement(旧Pardot)を導入するメリット

Account Engagement(旧Pardot)の導入により、マーケティング活動の質と効率を同時に高めることができます。ここでは代表的な3つのメリットを解説します。

見込み顧客の効率的な育成と商談化促進

BtoBビジネスでは、見込み顧客が初めて自社を認知してから実際に商談に至るまでに、数週間から数ヶ月以上かかることが珍しくありません。その長い検討期間の中で、見込み顧客の購買検討段階に合わせたコンテンツを適切なタイミングで届けることが、商談化率を高めるうえで重要です。

Account Engagement(旧Pardot)を使えば、まだ検討初期段階にある顧客には教育コンテンツを、比較検討段階に入った顧客には事例や詳細な製品情報を、というように段階的なアプローチを自動化することができます。

手動では対応しきれない大量のリードに対しても、自動化の仕組みがあれば一人ひとりに適切なコミュニケーションを届けることができます。リードの反応データをリアルタイムで把握できるため、「今まさに検討が進んでいる顧客」に対して営業が最適なタイミングでアプローチできる体制を整えることができます。

データ分析によるマーケティング施策の最適化

Account Engagement(旧Pardot)には、マーケティング施策の効果を可視化するためのレポート機能が充実しています。キャンペーンごとの効果測定レポートにより、どの施策がリード獲得や商談化に貢献したかを具体的な数値で把握できます。例えば、「展示会からのリードとウェビナーからのリードでは、その後の商談化率にどれほど差があるか」といった分析も可能です。

ROIレポートを活用すると、マーケティング投資対効果を可視化し、どの施策に予算を集中させるべきかという意思決定に活かすことができます。データをもとにPDCAを高速で回すことで、施策の精度を継続的に高めていける環境が整います。

感覚や経験だけに頼らず、根拠のあるマーケティング判断ができるようになる点は、組織全体の意思決定の質を高めるうえでも重要なメリットです。

チーム間の情報共有と業務効率化

マーケと営業が同一プラットフォーム上でデータを共有することで、部門間の情報断絶を解消できます。「マーケが送客したリードを営業がどう扱ったか」「営業が失注した案件はどのような経緯をたどっていたか」といった情報を双方が確認できるため、施策の改善や戦略の見直しがしやすくなります。

手作業によるリスト管理やメール配信作業を自動化することで、担当者の工数を大幅に削減できることも大きなメリットです。これまで手動で行っていた作業をAccount Engagement(旧Pardot)に任せることで、マーケティング担当者はより付加価値の高い戦略立案やコンテンツ制作に時間を充てることができます。承認フローや通知機能も活用することで、チーム内のコミュニケーションロスを最小限に抑えながら、スムーズな業務連携が実現します。

Account Engagement(旧Pardot)の導入・活用が向いている企業とは

Account Engagement(旧Pardot)はすべての企業に適しているわけではなく、特定の条件下でより大きな効果を発揮します。自社への適合性を判断するために、向いている企業の特徴と活用シーンを確認しておきましょう。

導入効果が高いBtoBビジネスの特徴

Account Engagement(旧Pardot)が特に効果を発揮するのは、商談サイクルが長く、複数の意思決定者が関わるBtoB企業です。購買検討に時間がかかるほど、見込み顧客との関係を長期間にわたって丁寧に維持するナーチャリングの重要性が高まるためです。

また、一定数以上の見込み顧客リストを保有しており、育成施策を組織的に展開したい企業にも適しています。リードの数が少なければ手動でも対応できますが、数百・数千件規模になると自動化なしでは個別対応が難しくなります。

さらに、マーケティング部門と営業部門が分離しており、連携強化が課題となっている企業にとっては、両部門のデータを一元化できるAccount Engagement(旧Pardot)の導入が特に効果的です。

活用シーンと導入イメージ

製造業・IT・コンサルティングなど、検討期間が長いBtoB業種での活用が特に多い傾向にあります。具体的な活用シーンとしては、展示会やウェビナーで獲得した大量のリードをスコアリングしながら継続的にナーチャリングし、購買意欲が高まったタイミングで営業に引き渡すという流れが代表的です。

また、既存顧客へのアップセルやクロスセルを促進する場面でも活用できます。購入実績のある顧客に対して、関連製品の情報や活用事例を自動化されたメールシナリオで継続的に届けることで、追加提案のきっかけを自然な形で作ることができます。新規リード獲得だけでなく、既存顧客との関係を深める用途にも活用できる点は、Account Engagement(旧Pardot)の幅広い可能性を示しています。

なお、最新の研究では、B2B市場で現在アクティブに動いている『今すぐ客』はわずか5%に過ぎず、残りの95%は将来の顧客候補であるとされています。※2。だからこそ、すぐに商談にならないリードを長期的にフォローし続けるナーチャリングの仕組みが重要であり、Account Engagement(旧Pardot)はその課題に直接応えるツールといえるでしょう。

※2 オーストラリアのマーケティング学術研究機関であるEhrenberg-Bass Institute(エーレンバーグ・バス研究所)のJohn Dawes(ジョン・ドーズ)教授が提唱した理論|マーケティングの実際の仕組み:95:5ルール

まとめ

本記事では、Account Engagement(旧Pardot)の基本概念から主要機能・導入メリット・向いている企業の特徴まで解説しました。

Account Engagement(旧Pardot)は、見込み顧客の獲得・育成・商談化という一連のプロセスを自動化・効率化するBtoB特化型のマーケティングオートメーションツールです。SalesforceのCRMと直接連携できる強みを活かし、マーケティングと営業が同じデータをもとに連携することで、組織全体での顧客育成の精度と効率を高めることができます。検討期間が長く、リードの数が多いBtoB企業であればあるほど、その導入効果は大きくなります。

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